石版印刷のワークショップ-石を磨いて描き、版にして印刷する-

石版印刷所だった場所で 石版印刷工の体験をしてみませんか。 石を磨いて描き、製版して刷るワークショップです。

石版印刷のワークショップです。

小さな石版を自分で磨き、そこに描き、製版し、印刷します。

「研磨、描画、製版、刷り」という、石版印刷の一連の行程を体験することができます。

出来上がった印刷物と石版は、お持ち帰りいただけます。

*研磨→描画→製版のあとに、休憩を30分設けます。
お茶とcomecoLABOさんのお菓子を召し上がって頂いたのち、刷りの行程に入ります。

開催日時

【日時】2024/6/15(土)
午前の回:10-12時半  午後の回:14-16時半
*所要時間2時間半です。途中、お茶の時間を挟みます。

開催内容

今期よりクラスが3つになります。
Lv.1においては直接描画する方法と、素材を用いたスタンピングによる描画と、二種類のうち、お一つを選んで頂けるようになりました。

石版印刷Lv.1(れべるいち)

石を研磨し、描画したのち、製版して印刷をします。

【描画について】
描画方法は2種類ご用意しています。どちらかお一つをお選びください。

1)直接描画法
ダーマトグラフという油性の鉛筆で、直接、石に絵を描く方法です。

2)スタンピング
絵を描くことが苦手な方でも大丈夫。素材を用いて描画します。

スタンピングによる描画と印刷の例
葉っぱを用いたスタンピングと印刷の例

【使用する石のサイズ】
6cm×8cmくらいの大きさです。

【費用】6,500円
(材料費・完成後の小さな額・描いた印刷物/石のお持ち帰り込。
お茶とcomecoさんのおやつ付・当日現金にて)

【持ち物】エプロン・持ち帰り用のA4サイズが入る袋。

石版印刷Lv.2(れべるに)

上記のLv.1を受講いただいた方がご参加の対象となります。

石を研磨し、解き墨等(液体描画材)で絵を描き、製版し、印刷します。

【描画方法について】
講座内で行うことができる描画方法は写真の4種類です。
一つもしくは複数のものを組み合わせて描画することが可能です。

石に描画したもの
実際に印刷したもの(石に描画した状態が分かりやすくあるよう、印刷は反転しています)

Lv.2を受講される方は、上記の描画法をご覧頂いた上、どのような絵柄が良いかをご検討頂ければと思います。

【使用する石のサイズ】
8cm×10cmくらいの大きさです。

【印刷する紙の大きさ】
2Lサイズ(キャビネサイズ)=127㎜×178㎜の大きさの紙に印刷します。
(Lv.1より大きな描画が可能です)

【費用】8,000円
(材料費・完成後の小さな額・描いた印刷物/石のお持ち帰り込。
お茶とcomecoさんのおやつ付・当日現金にて)

石版印刷Lv.3(れべるさん)

Lv.2を受講いただいた方がご参加の対象となります。

石を研磨し、データを転写法で石に移し、製版し、印刷します。

【描画方法について】

①転写法を用いて版にしたいデータをご用意ください。講座開始前に予めデータをお預かりいたします(こちらからデータ送付に関するメールをお送りします)。

②データのイメージは以下のように「コントラストが強め(白黒はっきりしたもの)」を推奨しております。100 x 100 mmにサイズを調整したモノクロ(グレースケール可)の写真 や文字をご用意ください。解像度は300dpi 以上が望ましいです(淡い調子や全体的に中間グレーの画像は向いていません)。

*データ作成をしたことがない・自信がない方は、お申込み時、チェックボックスにチェックを入れてくださいませ。こちらで調整可能かデータ確認後にご連絡させて頂きます。

③当日、主催側で出力した転写紙を用いて、転写法による製版を講座内で行って頂きます。

*著作権に関わるものをデータとして使用されることはお控えくださいませ。

写真を用いたデータ・製版・印刷の例
文字や絵を用いたデータ・製版・印刷の例

【使用する石のサイズ】
10cm×10cmくらいの大きさです。

【印刷する紙の大きさ】
2Lサイズ(キャビネサイズ)=127㎜×178㎜の大きさの紙に印刷します。
(Lv.1より大きな描画が可能です)

【費用】8,000円
(材料費・完成後の小さな額・描いた印刷物/石のお持ち帰り込。
お茶とcomecoさんのおやつ付・当日現金にて)

どの受講においても共通するお話として

【参加までにご準備頂きたいこと】
使用する石に描ける大きさで、クレヨンで描く程度の図案を考えてきて下さいませ。

【ご参加頂ける方】
今回は高校生以上の方を対象とさせて頂きます。
*次回以降で中学生以下の方を対象とした回を設ける予定です。

【クラスの構成について】
Lv.1、Lv.2、Lv.3のクラスを回で分けるのではなく、同じ回の中でご一緒に受講頂きます。
そして、描画と印刷において、Lv.1、Lv.2、Lv.3の方の行うことが異なる、という構成です。

【Lv.2の受講の仕方として】
初めて参加される方が、例えば午前にLv.1を受け、午後からLv.2を受けるということもできます。

【Lv.3の受講について】
こちらはLv.2を受けたことがある方のみの受講となります。

ワークショップについて、もう少し詳しく話すと

今回、ワークショップで使用する石版(石灰石)は大小あり、Lv.1ご参加の方が使用されるものは平均6cm×8cmの大きさです。
かたちはさまざまで、長方形のものや、台形のものがあります。
お好きなものをお選びください。

そこに描き、描画したものが「版」になるように、製版をします。
製版後、石版にインクをのせて、紙を置いて、印刷します。

黒色のインクで印刷すると、このような感じです。

インク色は、上記写真内の4色程度を予定しています。
色を変えつつ、3枚刷ることができます。

出来上がった印刷物と石版をお持ち帰り頂きます。

ご予約について

満員御礼となりましたら、キャンセル待ち受付とさせて頂きます。

ワークショップをガイドする人

■稲田 大祐
相模女子大学 学芸学部 子ども教育学科 教授。
多摩美術大学卒業(版画専攻)、同大学院(版画専修)修了後、私立小学校図画工作専科教諭、同附属幼稚園で年絵画工作指導を務めた後、メルボルン(豪州)に留学しRMIT大学大学院で石版画を再び学ぶ。NHK 朝ドラ『らんまん』石版印刷指導 担当。

でんぷん糊を用いた「紙平版画」「簡易木平版画」を開発。版画や科学工作の講師、絵本監修者として活躍。稻田醍伊祐の名で造形作家としても活動している。 

いなだ石版印刷所Insta:https://www.instagram.com/inada_print/

■稲田 恵理子
多摩美術大学卒業(版画専攻)、同大学院(版画専修)修了。
私立高校デザイン科講師を12年務める。版画とともに、1995年頃より吹きガラス製作も行う。

■鶴身 知子
鶴身印刷所家主。曾祖父の代で立ち上げた石版印刷所を継ぎ、4代目となるも、経営上、印刷業を廃業にする。その後、戦前の建物(元工場)をリノベーションし、2018年からものづくりの方が集まる文化複合施設として運営を始める。
石版印刷は稲田先生に教えて頂き、3年程。石と少しずつ仲良くなり始めている。

受講頂いた方々のご感想

このワークショップへの参加をされた「決め手」は何ですか?

・リトグラフに(版画全般に)興味があり、方法を知りたかったけれど適当な教室がなかったこと。
連続の教室ではなくワークショップという単発のクラスであったこと。

ワークショップのいいところは概要を一度で理解できるように組み立てられているところです。(連続の教室だと、下準備で1回、次の工程で1回…みたいな優雅なテンポで進める場合が多いように思います)。

数年前にリトグラフの古い印刷機を譲り受けて所有していますが、リトグラフのやりかたも機械の使い方もわからず、独学する根気も時間もなく、どうやって誰に習おうかと考えていたところ、こちらのWSを知り飛びつきました。

・2022年に京都市立芸術大学ギャラリーで、「Stone Letter Project#5」の展示で初めて石版印刷を知りました。以後、石版印刷をやってみたい気持ちがあり、時々インターネットで体験できるところを探していました。大阪なら近いので参加しやすいと思いました。

・石版印刷でポストカード作りのワークショップ(印刷所共催の別イベント)が楽しかったので、参加したいなーと思ってました。絵心がないので、無謀かなと躊躇してましたが、何でもチャレンジが必要かなと思い申し込みさせていただきました。

・石版印刷、面白そう→面白かった→もっと作りたい

・鶴身印刷所さんの空間と雰囲気が良かった所です。

・きっかけは朝ドラ(らんまん)。レベル2参加は1回目より細かい線に挑戦したくて。

Lv.2受講の方の描画の様子

ワークショップにおいて「特にここが良かった!」という点はありますか?

・稲田先生から直接、細かなコツを聞けたことと、道具を扱う技が見れたこと。
資料や動画では、やっぱり分からないです。

・リトグラフのしくみ(?)というか流れを理解しやすいと感じました。なぜ版ができて、なぜ刷れるのかがわかりやすく、疑問点にも端的&明解に答えていただけたことが良かったです。レベルの高い専門の講師の方に教わることができるところも貴重と思いました。また、会場も元が印刷所という本物の工房だったためか、広さとか室内の雰囲気も良くて気分が上がりました。先生のお話がゆっくり聞けるおやつタイムがあるのも良くて、充実してました。

・未経験者でも取り組みやすいかたちで、絵を描くところから刷るところまで工程を体験できて良かったです。文章で工程を読んでも、化学反応のことなどイメージできなかったので、「ここでこれを使ってこういう反応があって、こうなる」みたいなことがなんとなくですが認識できました。
自宅で出来るように考えられているのも素敵だと思います。

・ワークショップ中に、戸惑っているのを察知して下さり、丁寧に教えて下さったこと。
質問にも気さくに答えて下さり、石版印刷に更に興味を持てました。

・印刷機がなくても、自宅でも出来るんだ、という点が目から鱗でした!

・少人数で講師の手厚い手解きを受けられたこと。

・学生時代の図画工作の時間みたいで何かを作る事はとても楽しいです。

描画後にアラビアゴムを塗るところ。

その他のご感想として

・講座としてはかなり分かりやすいと思いました。自分自身でわからないところがはっきりしていれば、とてもわかりやすく答えていただけるので自分としては問題ありませんでした。

ただ、より理解するために繰り返し参加したかったので、今後の開催予定はとても嬉しいです。開催のスパンもちょうどいいです。かなり前から予定を知らせていただけているので、予定の確保がしやすく助かります。

・数年来知りたいと思っていたことを、こんなコンパクトに教わることができてすごく嬉しいです。しかもめちゃくちゃロジカルで分かりやすく、この講座に出会えて良かったなあ…としみじみ感じております。

・いつも楽しく参加させて頂いています。何より先生が一番楽しそうなので良い時間を共有できて嬉しいです。

・石版の歴史なども教えて下さり、とても興味深かったです。

主催より

石版印刷はオフセット印刷の前身であり、オフセットによる印刷物は私たちのとても身近にあるものです。

一方、「石を研磨すること」「石に描画すること」「製版すること」「石で刷ること」という、非日常の内容で構成されている本ワークショップは、普段、触れたことのない世界、日常とは違う世界への「お誘い」でもあるような気がしています。

1億5千年程前に生まれた石灰石を用いて表現することは、あなたに何をもたらすでしょうか。

石版と向き合うからこそ、生まれるものを、ぜひ体験して頂ければと思います。ご参加、お待ちしております。